企業姿勢その2
躍動する生命力のシンボル - おしきみ
おしきみは生け花と違い、生命力溢れる常緑樹です。冬でも落葉せず、青葉の輝きを失わず「四季美」ともいわれています。おしきみをご宝前にお供えするのも「湧き上がる生命力」のシンボルとしたからなのですね。
おしきみは鎌倉時代の昔から、一年中美しい(四季美=しきみ)樹木として、広く普及してきました。先人達はおしきみに託して、躍動する生命カを御宝前にお供えしようとしたのでしょう。それは、信仰による私たちの生命の躍動にも似て、一年中輝きを失うことがないからです。
おしきみには別の効果もあります。現代風に分析すれば除虫効果やマイナスイオン効果ということになりますが、ご宝前を清浄に保つ効果がおしきみにあることは、当時から経験として認知されていたようです。
おしきみがお供えされてきた歴史を、形式としてではなく、先人達の心にスポットを当てて考えてみたら、おしきみ本来の意味がよく見えてきます。一年中イキイキとした青葉にわが生命の躍動を重ねること、それは信仰者としての歓喜のシンボルでもあり、御宝前を飾る精一杯の真心のしるしだったのです。
香り立つ真心の発露 - お線香
お線香はご宝前に香りをお供えしようとするものです。香りの歴史は古く、奈良の正倉院に納められた宝物にも沈香の香木があるくらいです。今日では、伝統的な天然香木に加えて、香水の香りと融合したフローラル系の多様な香りが商品化されています。さらに、ストレスに囲まれた現代人のいやし療法として開発された、アロマテラピーを採り入れたお線香も現れました。
昔に比べ、気密性が飛躍的に向上した住環境にあわせて、お線香も微煙タイプへ大きく変化してきましたが、線香本来のほのかで上品な香りは、今もご宝前を清浄にし、我々の気持ちまで引き締めてくれます。
幼児が居るから火を使うのは避けているといった理由や、風で灰が散って汚れるからといった理由でお線香を焚かない方も増えていますが、先の本質論に照らしてみると、ご宝前にお供えしたくても、諸般の事情で叶わなければ無理をする必要はないということが見えてくるでしょう。ただし、お線香を焚く手間が面倒で手抜きをしても良いということでないのはもちろんですが…。
ゆらめく炎が一念を照らす - ローソク
「貧女の一灯」という有名な故事があります。電気のない時代、照明はもっぱら灯明に頼っていましたから、日が暮れて釈迦の説法を聞きに集まった衆生は、油を持ち寄って供養としました。油を買う余裕のないある貧しい婦人が、自分の髪を切り落とし、油に替えて供養したところ、他の人の供養した油は次々に燃え尽きても、いつまでも尽きることなく、明々と灯り続けたというお話です。ここには供養ということの本質が明かされていると言えますが、それと同時に、灯明が供養されていたということから、ローソクをご宝前に供える意味も明かされています。
今の世の中、激しい変化に追いついていくのも大変です。ローソクの炎は、そんなあわただしい日常からちょっと離れ、私たちの感覚を、ゆったりとしたもうひとつの時間の流れへ導いてくれます。一念を込めた厳粛な祈りがキャンドルライトに優しく包まれて、いつしか時間は静かに流れていくのです。「貧女の一燈」の故事にもあるように、本来、ローソクは法座を照らす灯りのご供養でした。ランプが電灯に変わった時点で照明という本来の使命は終えましたが、ゆらめくローソクの炎は私たちの心の中までも照らしだすようで、何物にも代えがたい、心安らぐ一灯です。